**ジャパンウィーク*イスタンブール**


「ジャパンウィーク」は国際親善協会が主催する民間国際交流のイベントである。
日本の文化紹介と国際親善を目的とし、1986年より毎年世界のいろんな都市で開催されている。
2003年は11月にトルコのイスタンブール市で第28回目のジャパンウィークが開催された。

思いがけなくHPを通して、国際親善協会よりイベント参加の依頼をいただいた。
"いけばな"をトルコで紹介出来る・・と思っただけで心は"飛んでイスタンブール♪♪♪・・"
実際参加するとなるといろいろ不安もあったが思い切って参加を決める。
賛同いただいた花のクラスメートと二人で。




まず花材の調達について協会に問い合わせをする。
スタッフが下調べした花屋の地図をもとに、自分で買い求めるとのこと。
イスタンブールには常時たくさんの種類、色の花があると写真が添えられてきた。
これはすばらしい!花物は十分だ。現地での花との出会いも楽しみに思えてくる。

物価も日本の1/5~1/3と聞き、なるべくたくさんの花を買い求め現地の皆さんに"いけばな体験"を!
花はプレゼントに!そして少しでも多くの人と交流を深めたいと思う。

日本のいけばなを紹介するには是非とも伝統の”格花”を一つはいけたいと思い ”伊吹”と”きゃら”は日本から持参することにした。
万一主材が手に入らないことも考えて、晒しホウキ、つる、とくさ等も持参することにした。
そのために神戸植物防疫所でいろいろ指示を仰ぎ、関空では植物輸出検査も受けた。


イスタンブール・タクシム広場の花屋さん
夜12時頃も開店していた

花材に関してはこれで万全だと思っていたところ出発近くなった頃、協会より花の調達方法の変更の連絡がはいる。
確実に手に入る方法ということで花のカタログが送られてきた。
不安もあるが指示にしたがい10種類ばかり注文する。

イスタンブールについた翌日、午前中は大急ぎでの市内観光。午後は展示準備。
ところが午前中のスケジュールが2時間ばかりずれ込んでしまい会場に着いたのが3時前。
花は会場で確認して購入することになっていたがすでに届いていた。
ところがえっ!!この花って??誰が見てもこれは・・・というものが多い。
買い換える時間も予算もない。

気持を取り直し日本から持参した花材と使える花で生けこみに取り掛かる。6時前に生けこみを終える。
どうしてもあのタクシム広場の花屋さんに行ってみたいと思う。7時からの実演にまだ時間がある。
通訳のエミネさんといっしょにタクシーで行ってみたところ、思ったとおり安くてきれいな花がいっぱいあった。
実演用に数種の花を買って引き返す。

それにしても花材を日本から持参したのは正解だったとつくづく思ったのだった。




リボンカッティングセレモニー(ジェマル・レシット・レイ・ホール)



展示風景

与えられた展示ブースは最初3mだったのが倍の6mになった。
前もって送っていた花器でなんとか間に合わす。

市内あちこちで花を抱えた子供達が夜遅くまで花売りをしている姿をみかけた。
タクシム広場の花屋も夜12時過ぎても明々とライトがついていた。
そんな光景から、トルコの人々の生活の中に花は欠かせないのだろうと思う。
あるいはちょうどイスラム教の断食月のせいなのかも知れないとも思う。


       


”トルコ桔梗”はトルコ原産の花?
ほとんどの人から”トルコ桔梗”を指差して「これはなんという花?」「バラ?」「はじめて見る花だ」と質問を受ける。
日本では”トルコ桔梗”と言うのでトルコ原産でトルコにはいっぱいある花だと思ったのに・・
トルコ原産というのは思い込みだったのかもしれない。
帰国後花材事典を開くと「トルコ原産ではない」とあった。
他の事典に原産国は北アメリカ(ネブラスカ・テキサス)とあった。勉強不足だった。
和名がなぜ"トルコ桔梗"なのか??

イスタンブールのテレビ局から”いけばな”につてのインタビューも受けた。
翌日ショッピングに出かけてたまたま入ったイスティクラル通りのお店のマスターから
「日本のマダム!昨日テレビでみましたよ」と聞かされ放映されていたことを知る。



いけばな体験風景
 

トルコの人たちにぜひ”日本のいけばな”の体験を・・と計画していた。
関心があるかどうか心配していたところ、初日は体験希望者が順番待ち状態だった。
あまりいい花材がなかったにもかかわらず、皆さんに喜んでいただけた。
準備していた花は午前中で一本も残らず終わってしまったのはうれしい出来事だった。



交流風景
”交流は心をこめて”をモットーに・・・

一日の中で決められた時間は通訳がつけられた。それ以外は笑顔と身振り・手振り・カタコト英語。
おみやげにと準備してきた手作りの和紙のしおりといけばな作品のカードも喜ばれた。

 


子供達は「こんにちは!こんにちは!」と無邪気に元気な声をかけてくれる。
澄んだ大きな瞳は好奇心に満ちていた。
ある男性は、格花を見て”サムライ”の心のようだと表現された。
以前日本に住んでいた時買った花器と剣山で、今も時々花をいけると話していただいた 中年の男性との出会いもあった。

花止めの”剣山”は、子供も大人も触ったり持ったりして珍しそうだった。
”又木”に興味をもった若い男性は、のぞき込んで見てどうしてとめるのか、
帰ったら必ず作って見たいと言って、いろいろな質問をされた。
実際に作ってみせると納得だった。

小学生の娘に日本の文化を見せたくて・・とトルコに住んで10数年になるという日本人男性の来場もあった。

日本のいけばなに関心をよせていただいたトルコの人たちに接して 花をめでる心に国境なしと思う。
そしてまた一つ花の輪が大きく広がった。

ジェマル・レシット・レイ・ホールの展示会場には、
桐塑人形・蔓・藤の工芸品・絵画・和紙ちぎり絵・木彫り・能面・・・・等々が展示された。
日本の伝統・文化と取り組むいろんな人たちとの出会いも忘れられない。